現状維持のメカニズムと例の失言

現状維持のメカニズムと例の失言

コンフォート・ゾーンを維持したいのは意識ではなく無意識なので、本人が気がつかないところで無意識が自分の足を引っ張ってしまうことも多いです。
今よりもっといい未来があるとしても、そちらに移ることは大変なストレスなので、無意識は現状を維持しようとします。

ただ、いい面もあって、今よりも悪い状態に陥るのを避けようとする力も働くので、ちょっとぐらい失敗してもなかなか一気に転落とはなりません。
無意識はいいと悪いの判断をしませんので、どちらであってもとにかく現状の維持が優先されるのです。

無意識の働き方は巧妙なもので、「なんとなくそう思う」というような形で現状維持に導くことが多いです。
先日の鉢呂氏の件で言えば、「なんとなく“死の町”という言葉を使ってみたくなった」のような感じだと思います。
おかげで大臣を辞めて元の自分に戻ることができました。
きっと後になって「なんてことを言ってしまったのだろう」と激しく後悔していることでしょうが、なぜ言ってしまったのかは、本人にも謎かもしれません。
あるいは、少なくともそこまで行った人なので、落ち着いて考えれば本心では自分が大臣を続けたくなかった、ということに思い至る可能性もあるかもしれません。
いずれにしてもだからと言って許されるという意味ではありませんが。

私自身も日々この現状維持のメカニズムと向き合っています。

先日書きましたように、私は今のままでいいと思うことなく次に次に進んで行きたい性質なので、変化を起こすたびにホメオスタシス・フィードバック(現状維持のメカニズム)が働いて、いろいろな事件が起きます。
その事件は時に家族を巻き込んで大きく発展しそうになりますが、私自身も家族も、その事件が変化に伴うホメオスタシス・フィードバックだと分かっているので、多少振り回されながらも落ち着いて対処することができるようになっています。

ホメオスタシス・フィードバックは厄介な面もありますが、うまく付き合うと頼りになる脳の機能だと、私は最近思います。