SMARTは微妙

SMARTは微妙

私は現状を越えたゴールを持つことが何よりも重要だと信じていますが、ゴール設定のちょっと古い方法論としてSMARTというものがあります。

S:Specific(具体的な)、M:Measurable(測定可能な)、A:Achievable(達成可能な)、R:Relevant(関連がある)、T:Time-bound(期限がある)の5つを満たすゴールを設定しましょう、というアプローチです。 
これは2000年頃まで流行した考え方で、最近はあまり聞かないのですがそれでもまだ時折登場してくることがあります。

Specific、Measurableは何とか認められるとしても、ほかは正直言って、微妙です。
特に、Achievable というのは論外。
達成可能なゴールはダメです。
今のままやっていればいい、というメッセージが無意識に送られ、現状を強化してしまうからです。
もちろん、「ギリギリ達成できるかできないかのゴール」がよくて「あまり荒唐無稽にならないように」と気を利かせてくれているがゆえのアドバイスでしょうが、それでは現状の拘束された状態から抜け出すことは不可能です。
ゴールは必ず現状を越えたものでないと新しい自分を開花させて高みに登ることはできないのです。

Relavantはあってもなくてもいいでしょう。あくまでもゴロの問題だと思います。

最後のTime-boundも結構問題は大きいです。
なぜかというと、期限を切るとゴール達成への活動が「義務」になってしまうからです。
本来自分のゴールは、自分自身が心から望むものであって、それを追いかけることが楽しくて仕方ないものであるべきです。
それがうっかり期限を作ってしまうと、義務感を持ってそのゴールを追いかけていくことになり、楽しい要素が減っていってしまいます。
日常のタスクレベルの仕事は期限を決めて取り組んだほうがはるかに効率がいいでしょうが、ゴールともなると期限は決めないほうがいいのです。

と言いながら、企業の業績等は四半期の積み重ねで語られますので、期間ごとの結果を出すための期限は当然に存在します。
そういった期限をも否定するものではないですが、個々人が持つゴールとしては、期限は無い方が現状の自分を越えた存在に近づいていけるのです。

ゴール設定の際に考えるべきポイントをまとめようとした、という意味でSMARTは一定の役目を果たしましたが、正直言ってもはや時代遅れのモデルだと言わざるを得ません。

あるいは、上で述べたような問題点を100%把握した上で、企業経営者が従業員を組織に縛り付けるために積極的にSMARTを使用した、という可能性も否定はできません。
従業員が自分を向上させようと本気で考えると、意欲がある人こそ組織から離れていってしまうので、SMARTで達成可能なゴールを持たせて、社内に意識を集中させようとという狙いです。
ちょっと考え過ぎかもしれませんが、頭がいいコンサルタントならそれぐらいのことを思いつきそうです。

それでは不幸な話で、ゴールは現状をはるかに越えたものでないと「自己変革」という役割を果たさない、と記憶しておいて頂ければと思います。