1on1のやり方|フィードバックではなくフィードフォワードで部下の自発性を引き出す

1on1のやり方|フィードバックではなくフィードフォワードで部下の自発性を引き出す

1on1を導入したものの、うまくいかない。
部下が本音を話してくれない。
結局、上司からの指示や確認の時間になってしまう。

そう感じている管理職や経営者は少なくありません。

1on1は、本来、部下の成長や自発性を引き出すための時間です。しかし、やり方を間違えると、単なる進捗確認や反省会になってしまいます。

そこで役立つのが、フィードフォワードです。

フィードフォワードとは、過去の失敗や現在の問題を責めるのではなく、相手がこれから実現したい未来に意識を向け、次の行動を自分で見つけられるように支援する関わり方です。

1on1では、フィードバックよりもフィードフォワードを中心にしたほうが、部下の自発性を引き出しやすくなります。

1on1がうまくいかない理由

多くの1on1がうまくいかない理由は、上司が「確認する」「評価する」「改善点を伝える」ことに意識を向けすぎるからです。

たとえば、上司が次のように聞いたとします。

「先週の目標は達成できた?」

「なぜうまくいかなかったの?」

「次はどう改善するの?」

これらの質問は、一見すると自然です。仕事の進捗を確認するうえでは必要な場面もあります。

しかし、部下の側からすると、評価されている、詰められている、失敗を説明させられていると感じることがあります。

その結果、部下は本音を話しにくくなります。

上司にどう見られるかを気にして、無難な答えを選ぶ。
できていないことを隠す。
自分で考えるより、上司の正解を探す。

これでは、1on1は部下の成長の時間ではなく、上司への報告の時間になってしまいます。

フィードバックとフィードフォワードの違い

フィードバックは、過去の行動や結果を振り返り、改善点を見つける関わり方です。

一方、フィードフォワードは、相手の意識を未来へ向けます。

「なぜできなかったのか」ではなく、

「次はどうしたいのか」

「どんな状態をつくりたいのか」

「そのために何を試してみたいのか」

を一緒に見ていきます。

観点フィードバック型1on1フィードフォワード型1on1
意識の向き過去の結果これからの未来
上司の役割評価者、指摘者未来を照らすフォワーダー
部下の状態守りに入りやすい自分で考えやすい
会話の中心反省、改善点ゴール、次の行動
引き出すもの問題点自発性、want-to

1on1で大切なのは、部下を正すことではありません。部下が自分で未来を考え、自分で行動を選べる状態をつくることです。

フィードフォワードの考え方をさらに詳しく学びたい方は、「PDCAに変わるフィードフォワード・アクション」もあわせてご覧ください。

フィードフォワード型1on1の基本ステップ

フィードフォワード型の1on1は、難しいものではありません。

基本は次の3つです。

1. 最近どうですか?と聞く

最初から成果や問題点を聞かないことが大切です。

まずは、

「最近どうですか?」

と聞きます。

この問いは、とてもシンプルですが、相手が今どこにいるのかを知るために有効です。

仕事のことを話す

2. これからどうしたいですか?と聞く

次に、未来へ意識を向けます。

「これからどうしたいですか?」

「次はどうなったらいいですか?」

「本当はどんな状態をつくりたいですか?」

この問いによって、部下は過去の説明ではなく、未来の可能性を考え始めます。

ここで大切なのは、部下の答えをすぐに評価しないことです。

「それは難しい」

「現実的にはこうだ」

「まずはこれをやりなさい」

と言いたくなる場面もあるかもしれません。

しかし、最初から上司が正解を出すと、部下は自分で考えることをやめてしまいます。

3. そのために何をしますか?と聞く

未来が少し見えてきたら、次の行動を聞きます。

「そのために、何から始めたいですか?」

「今週、試してみたいことはありますか?」

「どんな一歩ならできそうですか?」

行動は、上司が決めるのではなく、部下自身が決めることが大切です。

自分で決めた行動には、自発性が生まれます。

1on1で使える質問例

フィードフォワード型の1on1では、次のような質問が使えます。

  • 最近どうですか?
  • 今、どんなことが気になっていますか?
  • これからどうしたいですか?
  • 次はどんな状態をつくりたいですか?
  • もう少し大きく考えると、どうなったらいいですか?
  • その未来に近づくために、何を試してみたいですか?
  • 今週できる小さな一歩は何ですか?
  • 何か障害になっていることはありますか?
  • 誰に相談すると進みやすくなりそうですか?

ただし、質問を並べすぎないことも大切です。

1回の1on1で、いくつもの質問を浴びせる必要はありません。相手の話を聞き、受け止めながら、その場に合う問いを一つずつ使います。

上司が注意すべきこと

フィードフォワード型の1on1では、上司の姿勢がとても重要です。

評価しない

部下が話したことに対して、すぐに良い悪いを判断しないことです。

「それはいいね」

「それは違う」

「その考え方は甘い」

と評価すると、部下は上司の顔色を見ながら話すようになります。

上司は、まず静かに受け止めます。

先回りしない

部下が考えている途中で、上司が答えを出さないことです。

上司には経験があります。だからこそ、部下より早く答えが見えることもあります。

しかし、1on1の目的は上司が正解を示すことではありません。部下が自分で答えを見つけることです。

ドリームキラーにならない

部下が大きな未来や挑戦を語ったときに、

「それは現実的ではない」

「今の君にはまだ早い」

「まずは目の前の仕事をやってから」

と言ってしまうと、部下の未来は小さくなります。

もちろん、現実的な課題を一緒に見ることは必要です。しかし、最初にやるべきことは、相手の未来を小さくすることではありません。

1on1は自発性を育てる場

人は、自分で決めたことにこそ力を発揮します。

外から言われたことは、最低限で終わらせようとしがちです。しかし、自分で選んだ未来、自分で決めた行動には、エネルギーが生まれます。

1on1は、部下に指示を出す場ではありません。

部下の中にある「本当はどうしたいのか」を見つけ、その未来に向けた小さな行動を自分で決めてもらう場です。

その意味で、1on1は自発性を育てるための大切な時間です。

フィードフォワードの考え方は、1on1の場面だけでなく、経営者やリーダーの成長支援にも活用されています。組織づくりやリーダーシップ向上に関心のある方は、CEOコーチングもぜひご覧ください。

まとめ

1on1をうまく進めるには、フィードバックよりもフィードフォワードを中心にすることが大切です。

過去の反省や改善点だけを扱うと、部下は守りに入りやすくなります。

一方で、

「最近どうですか?」

「これからどうしたいですか?」

「そのために何をしますか?」

という問いを使うと、部下は未来を考え、自分で次の行動を選びやすくなります。

1on1の目的は、上司が正解を与えることではありません。部下が自分で未来を見つけ、自分で動き出すことです。

フィードフォワード型の1on1は、部下の自発性を引き出し、組織全体の未来思考を高めるための実践です。