SMARTの法則の問題点とは?目標設定する際の注意点を解説。

SMARTの法則の問題点とは?目標設定する際の注意点を解説。

SMARTによる目標設定の大きな問題

SMARTを満たすゴールを作りなさい、と言われたことがある方は多いと思います。
しかし、はっきり言ってこのゴール設定には非常に大きな問題があります。
詳しくは後ほど書きますが、まずはSMARTをご存じない方、忘れてしまった方のために簡単に説明します。

SMARTというのは、多少言葉の当てはめ方に違いがありますが概ね下記のようなことを意味します。

S:Specific→具体的に
M:Measurable→測定できる
A:Achievable (Attainable)→達成可能
R:Realistic/Relevant→現実的、関連性がある
T:Time-bound→期限がついている

上記を満たすようなゴールを設定して下さい、ということです。

しかし、それは古い考え方であり、すでに最新のコーチング理論の中では完全に放棄されています。

放棄されている理由は、それが間違っているからです。

特に問題が大きいのは、A:Achievableです。

Achievable=達成可能なゴールを設定しても意味はありません。それが達成できるのであれば完全に現状の中にあり、それを達成しようとするエネルギーは生じません。

達成できるかどうかは運任せになる可能性が大きいです。

そのうえもっと悪いことに、その達成可能なゴールを大きく上回るような結果はまず出ません。

次に問題なのは、R:Realisticです。

Realisitc=現実的なゴールはまたしても現状の中ですので、そのゴールを追い求めるとひたすら現状を肯定することになります。

現状に完全に満足している人はいいのですが、多くの人は現状を変えたいと思っているはずですので、現状を肯定して強化する行為はまったく逆方向に向かう行いになってしまいます。

S:Specificも実は問題があります。

本当のゴールは現状の外にあるので、具体的には見えないものになります。

ですので、Specific=具体的なゴールという事自体がほとんど不可能です。

Time-boundも問題があります。

期限を設けるのは一見して正しそうですが、実はこれをやってしまうとゴールがWant toではなくて、Have toになってしまうリスクが高まります。

ゴールは自分が心からやりたいことでないといけませんので、Have toになってしまってはいけないのです。

M:Measurableだけは比較的害が少ないと言えます。ゴールを目指す上で進捗を測定することは悪くはない、ということです。

このように、SMARTなゴール設定をすると、現状を維持するために日々を過ごすことになり、よりよい人生を行きたいと思う人には最悪の事態になります。今日と同じ明日を作り続けることになるからです。

もっとも、組織にとっては、現状に閉じ込めるということで退職しない良いメンバーを作るために効果があるということなのかもしれません。

いずれにしても、現在SMARTにしたがってゴール設定をしている方はぜひ十分に気をつけて頂いたほうが良いと思います。

認知科学の観点からは、ゴールは現状をはるかに超えたものを設定しないといけないのは、繰り返し述べてきた通りです。