従業員1人から13万人まで(2/3)
羽ばたいたと言ってみましたが、ちょっと言いすぎだったかもしれません。
けっして大空に向けて飛んでいくという感じではありません。
初めて空を飛ぶツバメが、ほとんど落ちながら何とか羽をバタつかせて、地面すれすれで上に向かうようになった、そんな感じだったのかもしれません。
しかし私にとっては大きな一歩でした。
この会社で私は営業に配属され営業マンとしてスタートしました。
最初は電話を取ること・かけることにも苦労しましたが、自営業時代に培った馬力を生かして入社6ヶ月間で年間の売上目標を達成し、トップセールスマンになりました。
目標達成後に営業企画のマネージャーに昇格し、のちに社長の右腕として経営企画を担当するようになりました。入社時には50人だった従業員数がこの頃には100人弱になっていました。
しばらくの間この会社でお世話になり、経営・営業を中心に幅広く経験を積み重ねることができ、この最初の会社員生活が私の大事な財産となっています。
楽しく毎日を過ごしていたのですが、力がついてくるともう少し大きなフィールドで活躍したいと思うようになりました。帰国子女だったため当初から国際的な仕事に関わることを希望していましたが、無謀にも外資系の企業に入ろうと準備を始めました。
ところがところが再び関門があります。
英語の力を証明する実績が一つもないのです。
TOEICもTOEFLも受けたことがなく、持っているのは中学生の時に受けた英検3級だけでした。
まあ、受ければいいないじゃないかと気楽に、少し準備してTOEICを受けたわけですが、ここで再び挫折します。
英語は大学に入った最初の2年間しか使っていないので、10年以上経ったこの頃には完全に忘れていて、自信を持って受けたはずの最初のTOEICはたしか720点しか取れなかったのです。(悪くない点数ですが、自分では英語ができると思っていたので、なかなかのショックでした。完全な勘違いでしたが)
まあ外資系に転職どころの話ではなかったのです。
結局あきらめずに、その後少しずつ勉強をして何とか800点を超えたところで、アメリカに本社を置く従業員10万人の電子部品メーカーに拾ってもらいました。
さて、ようやく念願の外資系に入ったわけですが、入ってからがまた大変でした。
会社員としての基礎がなく、ベンチャーで数年駆け抜けただけですから大企業での生き方についての知識ゼロ。
そのうえ、英語もTOEICによればかろうじて上級者のはしくれですが、実践はほとんどやっていないので、英語のメールも電話会議も「さっぱり」わかりません。
おまけについた仕事は、ビジネスプランニングマネージャーで、業務内容は戦略立案とコントローラーの兼務です。担当エリアはアジア・パシフィック!
確かに20代に会計はかなり学んだし(あくまでも机上の学問)、会社も経営したし(とはいえ従業員2~3名)、経営企画もやったし(ただしベンチャー)、海外生活も長いし(でも15年ぐらい前)、見た目の経歴を並べれば、採用された仕事も務まりそうな感じがしますが、思いっきり背伸びして拾われているので、最初は求められている能力の30%ぐらいしか持っていません。
本当に先が思いやられるスタートです。
ただ、自分で思いっきし背伸びして入っていることを知っているので、「入ったもん勝ち!」という姿勢で目一杯勉強して3ヶ月後にはしっかり戦力となり、半年後には中心選手になることができました。
素直に学んで成長するのが私の強みかもしれません。
MBAの1年目はきつかったですが、この会社での最初の半年間はその数倍きつかったように思います。
結局ここでも数年間お世話になり、大いに力をつけることができたのですが、組織の硬直性に行き詰まりを感じ、次の場所を探すことにしました。
(続く)