信じられないようなイギリスでの暴動:長引く失業の苦しさ
この数日間、なんとイギリスで暴動が起きています。
きっかけは警察官が黒人男性を射殺したことのようですが、背景には若年層の高い失業率があります。
財政再建のために緊縮財政を開始した昨年以来、景気が回復しきらず、失業者の不満が非常に高まっています。
全体の失業率は(地域差もありますが)10%以下のようですが、25歳以下に限ると20%程度になるようです。
当然、年齢が高ければ失業率はかなり低くなることも予測され、不公平感も高まっていることが予測されます。
失業というのは本当に辛いもので、働きたいのに働けない状態が続くと、人は本当に弱ってしまいます。
19世紀から20世紀にかけて活躍した経済学者のアルフレッド・マーシャルが次のように書いているのを読んだことがあります。
Quote
“Forced interruption to labour is a grievous evil. Those, whose livelihood is secure, gain physical and mental happy and well-spent holidays. But want of work, with long continued anxiety, consumes a man’s best strength without any return, His wife becomes thin; and his children get, as it were, a nasty notch in their lives, which is perhaps never outgrown.”
Unquote
要約すると、長く続く失業というのは非常に苦しいもので、本人はもとより家族にとても大きな負担である。
ということです。
アメリカやヨーロッパでも失業が大きな問題となっていて、もちろん多くの途上国でも喫緊の課題です。
イギリスは緊縮財政策が動き出してトリプルAの格付けを回復していますが、失業を抱えたままで先に進むことはできない、そういう現実が浮き彫りになりました。
一方でアメリカは景気の回復を優先して格付けを下げられて世界の市場は大波乱、他方正しいことをしたはずのイギリスでは21世紀としては信じられないような大規模な暴動。
私たちの日本はどちらの国もなりうる経済・財政に状態にあります。
もはや他人ごとではないと、改めて痛感しました。