久野つれづれノート
ストックホルム症候群
少し時間が経ってしまいましたが、リビアの首都トリポリが反政府軍によって制圧された日に、ニュースを通して私はいわゆる「ストックホルム症候群」を目撃する機会に恵まれました。
その日、カダフィ氏の軍隊が外国のジャーナリストを捕えてあるビルに閉じ込めていたのですが、(恐らく)半日~1日ぐらいの監禁の後、最終的にジャーナリストたちは全員無事に解放されました。
その中にCNNの特派員がいたのですが、もちろん解放後には、現場の様子やその時の自分の心理状況を伝えていました。
その中でその特派員がこのように話をしていました。
『彼ら(カダフィ軍)は悪い人たちではなく、むしろいい人達だと思う。ただ命令に忠実に従っているだけだ』
監禁されて明らかに命の危険にさらされたのに、監禁している人たちが「いい人だ」と言い切っているのですから、これこそストックホルム症候群の典型です。
ストックホルム症候群の解説はこちら ↓
ストックホルム症候群
ストックホルム症候群は人の脳や心の仕組みに非常に示唆深い視点を提供していると思います。
例えば、私たちもすごく嫌な環境に身を置かざるを得ないことがあっても、しばらくするとその場の支配者に親近感を覚えてしまうことがあると思います。
これは、状況を支配されているうちに、支配者との間にハイパーラポールが作られて、いつの間にか慣らされていってしまうのです。
世の中で、どうしてそんな嫌な人に好き放題されたのだろう?と思うことがあった場合、そこにはストックホルム症候群がある可能性が高いと思った方がいいでしょう。
脳は本当に不思議なものです。