脳は変化にどう対応するのか: アメリカ大統領選挙とTPP法案に学ぶ

脳は変化にどう対応するのか: アメリカ大統領選挙とTPP法案に学ぶ

脳の働き方から、トランプ大統領誕生とTPP法案への日本の国会への対応をみると、実に多くの示唆が見えてきて大変興味深いです。

1つのポイントは「脳は変化にどのように対応するか」ということだと思います。

脳にとっては、生命を維持するために「現状を維持する」のが最も大きな仕事です。

心拍を維持し、体温を維持し、栄養を摂取、消化、排泄するのも、昨日と同じようにやればとりあえず、今日は生きられます。

身体的なことだけでなく、仕事や人間関係についても、現状維持が最優先の目標となります。

その意味で、トランプ大統領誕生に大きな反応が生まれるのは当然のことと言えるかもしれません。
トランプさんは「現状を大きく変える」ことを公約としているからです。
とりわけ、その変化の影響を受けると予想すれば、反応は大きめになるのもわかります。

ですが、ここで疑問なのは、一番心配するのはアメリカ人の皆さんでは?ということです。
それなのに、国民の半数がトランプさんを支持し、未来を託しました。
なぜでしょう?

それは、選挙戦を通して、そして過去の経験からアメリカの方たちにはいくらかは未来が体感できているからです。
もちろん不安も多いでしょう。

ですが、それを期待が少し上回り、クリントンさんが大統領になった場合にほぼ確実に予測される「今と同じ未来」よりはトランプさんに賭けようと思う人が、『国民の半数』いた、ということです。

脳には「現状を維持しようとする力」もありますが「より良い未来を望む力」もあります。

今回のアメリカ大統領選挙では、その「より良い未来を望む力」がトータルとして少しだけ優ったのでしょう。

さて、TPP法案の方はどうでしょうか?
その内容の是非はここでは置いておいて、当選した次期アメリカ大統領は明確にTPP反対を表明しています。
ですので、ここは一度ペンディングするのが日本の国会としてもごく自然な対応だと考えられます。

ですが、脳は「現状維持」が大好きです。ですから、外部環境の変化はさておき、昨日まで信じてやってきたことを完遂しようとするのかもしれません。
その結果としての、可決、なのかもしれません。

また、この法案に関わっている方は「良い未来を作る」ために努力しているのだと思います。
そのため、TPPは良いものだから、と信じて、トランプ新大統領の翻意(気が変わる)を期待しているのだとも予想できます。
万一、気が変われば、法案を通した方々は、「先を見通したヒーロー」になるかもしれません。

このように、脳の働き方を理解すると、一見ランダムに見える世の中のことも整合的にスッキリと見通すことができるようになります。

最後になりますが、外部環境がどのようになっても、自分自身の「自己評価」を高めて目指す方向に向かえば、必ず道は拓けます。
それでも、たいていは外部環境への適応も常に重要になりますので、選択的に情報を取得し、自分で真実を見極める力を高めていくのも重要です。

私は日本のメディアを批判する立場を取ることはしませんが、時に操作的な情報が散りばめられていることには気がつきます。
自国の大統領をその国の方々が2年もかけて選んだというのに、周りが何を言う必要があるというのでしょうか?

本来はそれ以上に自国の政治のことを考えるべきですよね (^^)

脳を理解すると、仕事もプライベートも楽になります。
自分の頭に詰まっている不思議な物体、面白いものですね。