TPPを自分の目で見直して:危機的状況に置かれている私たち
自分で事実を見て、自分で考えないといけない。
そう信じてきましたが、実際にそれをやろうとするとかなりの情報収集が必要なことを改めて痛感しました。
どうもおかしいと思ってきたTPPについて、遅ればせながら、原契約(ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールで結ばれた最初の契約)に部分的にではありますが目を通してその問題点を自ら確信するに至りました。
いくつもの方面から情報を収集して、特に、気になっているのはCHAPTER 9 Article 9.2. で書かれている1. Each Party shall adopt or maintain competition laws that proscribe anticompetitive business conduct with the objective of promoting economic efficiency and consumer welfare.
という条項です。
この条項のニュアンスは、TPP参加国は健全な競争環境を維持するために自国の法を従わせなければならない、というようなものです。
つまり、TPPの趣旨である自由貿易に逆行する法律があった場合にはより自由競争なものに変えないといけない、ということになります。
(当然、たいていの国には自国の利益を守るために自由貿易に逆行する法律があり、多くの場合にはそれらは一定の妥当性があります)
この条項は大変パワーがあるもので、TPPの方が各国の法律の上にある、ということを明確にしているものです。もちろん、条約だから当然なのですが、そうなると実質的に各国の主権は奪われるのに等しいようなものです。
実際、TPPの二国間版のFTAをアメリカと結んでいる韓国は、すでにいくつもの法律の改正を余儀なくされているようです。その数、数十にのぼると聞きました。
有名なのは学校の給食に地産地消のものを使いなさい、という決まりがあったのが、FTAにより変えざるを得なくなった、ということがあります。
ご承知の通り、韓国経済は現在大変な苦難に陥っていて、その主因が数年前に結ばれた米韓FTAにあると言われています。
すでに主要銀行の大半が外資の傘下にあり、サムスンやヒュンダイの巨大企業も過半数に近い株式を外資に握られていることは知られていますが、その一因としてこの条項の存在があることは否定できません。
庶民の暮らしも数年前と比べても急速に厳しくなっている聞いています。
このまま放っておくと日本の経済もTPPという恐ろしく不利な条約に飲み込まれて弱っていくところです。
幸いTPPそのものについてはさすがに全体像が見えてきたのか、あるいは別の計算が働いているのか、先だってのオバマ大統領の来日の際にはさすがに譲歩できないところを守り、今のところは合意に至っていませんが、まだまだこの先も気を抜けない状態ではあります。
そろそろ、いい加減に目を開けて世の中を見ていないと、やばい感じがするんですよね。
アベノミクスでの見せかけの景気高揚と、経団連企業の形式的なベアなどで気分的にはこれから良くなりそうですが、消費税増税以降明らかに物価は高くなっていて、しかも消費税以外でも種々の増税の議論がなされている中で、どう見ても国民の生活がよくなっていく兆しは本当には多くない状態です。
これまでも忸怩たる思いで世の中を見ていましたが、もう声を上げていかないといけないところを通り過ぎるギリギリのところまで来ていることは確信していますので、家族や仲間、自分の未来のために意見を表明していこうと考えています。
大きな枠組で現状を捉えることと、個人レベルでできる自衛について、真剣に考え、発言していきたいと思います。