社長の右腕になるうえで知っておきたいこと。
「右腕」になりたい人が知っておいた方がいいことがあります。
社長が入社前に発する、「ゆくゆくは自分の後継者として」という言葉の意味です。
おそらく、社長のその言葉は「本気の言葉」です。
ですが、その本気と裏腹にその状態(自分の後継)はそう簡単には実現しません。
半年~1年ぐらいでそうなるかな、と期待して入社しても、通常はそうはなりません。
うまく行っても2~3年かかります。
その理由は、前回の記事で書いたように、社長と「右腕」が本当に一体化して、真の信頼関係が築かれるのには時間がかかるからです。
「右腕」として腕を振るいたい方にとっては長いと思うかもしれません。
ですが、実は時間をかけるのはいいことです。
急いで権限の移譲を進めると、たいていは大きな揺り戻しがあります。
大きな役目を任されたと思ったのに、取り上げられることがあるのです。
たいていは何かの責任を取る、という名目ですが本質は責任ではありません。
急激に物事が進み過ぎて面白くない人がいたのです。
それはたいていは社長自身です。
社長が面白くなかったのです。
それで元に戻すのは勝手な話ですが、実に多いケースです。
基本的に、すべて急激に物事を進めようとした社長の責任で、入社時に甘い口約束をしたことのツケです。
悪気はないのですが、自分が一番でいたい社長の性です。
ということで、どうしてもこうなるので、早急に進めない方が無難なのです。
「右腕」志望の方はこれを理解して、入社されるのをお勧めします。
また、社長の皆さんにもお伝えします。
「ゆくゆくは後継者に」というタイプの甘い言葉で勧誘するのはやめたほうがいいと思います。
結果として、お互いに時間を損するからです。
実際には最低2年、できれば3年かけて「右腕」が事業と組織に馴染み、社長自身を含めて誰もが完全に納得して権限を移行するのが、安全かつ確実な方法です。
もちろん、「右腕」として入社した人が経営経験豊富で、実質的なトップとなり、社長がテクノロジーなどの得意分野に専念するスタイルの場合はもう少し速く進めても大丈夫です。
ですが、社長が経営を自分で行いたい場合は十分に注意して進めることを強くお勧めします。
気をつけないとせっかくの時間やお金の投資がゼロどころかマイナスになってしまいます。
せっかく入った「右腕」候補が早々に辞めてしまっては、残された社員の方もテンションが下がるというものです。
以上、「右腕」シリーズでした。