PDCAに変わる枠組み「フィードフォワード®」→「アクション」プロセスとは
「フィードフォワード」は未来ばかりを見るので、個人の人生を好転させるのにはいいとしても、仕事にはあまり使えないのではないかと思う人もいます。
「フィードバック」や「PDCA」に馴染んでいると、「過去の振り返り」が必要だと感じるのだと思います。
でも、実は「フィードフォワード」はもう少し奥が深いものです。
単に未来を見るだけではありません。
少し説明させて下さい。
実は、私は長らく「PDCAサイクル」に疑問を持っていました。
実際にこれをうまくやれているという話を聞かないからです。
私もMBAを取得していますし、経営の現場で長いことを仕事をしてきましたので、PDCAのコンセプトと目指したいところは理解できます。
また、ISOという国際規格の中でもPDCAは最重要の考え方として組み込まれていて、私は短い期間ではありましたが、ISOの認証機関で仕事をしていたこともあるので、PDCAの意図はよく分かります。
ですが、実際にはPDCAは回りません。
かなり頑張っても回りません。
その明確な理由があるのですが、もしかしたら誰も気がついていないのかもしれません。
その理由とは、PDCAは私たちを「過去にしばりつける」からです。
もちろん、PDCAの本来の目的は改善を通して良い未来を作ることです。
それなのに、「C(CHECK)」が強力すぎて前に進めないのです。
「フィードバック」によって私たちが過去にとらわれてしまい、未来を築けなくなるのと同じ原理です。
認知科学的に考えても、意識的に過去を振り返るのは大変大きなリスクを伴います。
この点を「フィードフォワード思考 」では大きく変えました。
私は、PDCAに変わるコンセプトとして、「フィードフォワード」→「アクション」プロセスを提案します。
「フィードフォワード」→「アクション」プロセスはいくつかの点において大きな利点があり、今後中心的な概念になる可能性があります。
実際のところ、大きな成功を成し遂げている人は必ず「フィードフォワード」→「アクション」で行動しています。
彼らはPDCAで生きてはいないはずです。
また、この記事の冒頭で述べました「過去の振り返り」に関してはこのように考えています。
「フィードフォワード」→「アクション」プロセスの中では、
「フィードフォワード」の中に「ゴール設定」→「無意識の振り返り」が内包されていて、このサイクルが回りながら全体の「フィードフォワード」→「アクション」を回転させていると考えています。
下記の図をご参照下さい。
◆「フィードフォワード」→「アクション」サイクルでは
(1)ゴールを設定すると
(2)脳は「無意識の振り返り」を行いながらゴールを見直しつつ
(3)アクションを取りながらも、同時に「フィードフォワード」の中でも「ゴール設定」→「無意識の振り返り」が行われる
ということが繰り返し行われます。
この思考法によって、今までのPDCA思考では想定できなかったスピードでゴールを達成することができるようになります。
また、「無意識の振り返り」というステップの存在によって、正確性を求められる分野においても安全確実なアウトプットを生み出すことができるようになります。
意識的に過去を振り返るCHECKを行うと過去に縛られ、また、このCHECKの存在によってCHECKの存在を前提にしたPLANになってしまい、「後ろに体重がかかったまま走る」ようにすらなります。
このように、「フィードフォワード」→「アクション」ではPDCAの決定的な弱点を解決しています。
さらに、担当者のトレーニングは「無意識」の強化という領域に踏み込むことにより、従来のチェックシートによる確認作業からより高度なプロセスのマネジメントに移行することが可能となり、AI(人工知能)時代のプロセス改革の流れとも合致すると思います。
そして、PDCAのもう1つの問題が、「P(PLAN)」です。
PLANするのはもちろん良い未来を作るためですが、このPLANという言葉を聞くと、つい積み上げで物事を考える習慣が発動するケースがあります。
そこを「フィードフォワード」→「アクション」では、「ゴール設定」から始めることを明示してあります。
ですので、認知科学的に完全に効果的なのです。
PDCAは20世紀において、画期的な発明で世の中の発展に大きな貢献をしてきましたが、そろそろ時代遅れになっています。
新しい概念として「フィードフォワード」→「アクション」プロセス=『FFAプロセス』を提案したいと考えています。
2018年5月2日