従業員1人から13万人まで(1/3)

以前、採用面接で「あなたの強みはなんですか?」と聞かれたことがあります。
それも、挨拶をした後の一番最初の質問です。

面接は一般的には「まず久野さんの経歴を簡単にお話し下さい」とか「簡単に自己紹介をお願いします」のようなオープニングで始まるものですから、さすがの私も面食らいました。

とっさに、考えるひまもなく私はこう答えました。
「私の強みは従業員1人の会社から10万人以上の会社まで経験したことがあり、いつでもどこでも自分の強みを発揮できることです」、と。

今考えると、文法的にもおかしいし、わかるようなわからないような回答ですが、面接という場で想定外の質問を受けたことを考えると、まあ悪くない答えだったかもしれません。

しかし、確かにそうなのです。
私は従業員1人、数人、50人、500人、2000人、10万人、13万人と幅広く経験をしてきたのです。

大学を卒業して、まずは小さなビジネスを始めました。
1人で始めたビジネスです。

それと並行して、もう一つビジネスを始めました。
簡単な通信販売のビジネスです。

それぞれまずまず活動していて、暮らしていく分には困らないぐらいでしたが、残念ながら大ブレイクの兆しはなく、このまま続けると一生小さな自営業のままの可能性があったので、30歳になったときに会社勤めをしてみようと思い立ちました。

ところが就職先探しは難航しました。

私の父は日本の大きなメーカーに勤めていて転勤や出張が多く、私も子供の頃と高校生の時にそれぞれアメリカとロンドンに合計9年間暮らしていました。帰国子女だったのです
そのため、一度は大きな企業で国際的な仕事をしてみたいとは思っていました。

そこで、せっかく会社に入るならと色々な会社を受けてみたのですが全く思い通りに行きません。
30歳まで会社勤めをしたことがない人は基本的に門前払いだったのです。
大学には全く行かなかったので、たしかに成績は最悪(学部のGPA 2.9)でしたが、一応東京大学の経済学部を卒業していたし、自分で会社を2つやっていてビジネスは分かっているのできっと何とかなるんじゃないかと思っていましたが、全く甘かった。
すでに結婚もしていたので、どうしたものかと妻とよく頭を抱えたものです。

象徴的だったのが、転職の定番のリクルートの紹介会社に登録すら拒まれたことです。
霞が関ビルに出向いて求人を紹介してもらうつもりだったのに、「申し訳ありませんが登録頂いても紹介できませんので、リクナビをお使い下さい」というようなことを言われたのを覚えています。

受けても受けても合格せず、やっぱり会社勤めはできないのか、と思っていた時にようやく拾ってくれたのが従業員50人ぐらいのベンチャー企業でした。
採用関係の広告を扱う会社だったのです。

この会社にはとても感謝しています。
ここで私は羽ばたくことができたのです。

(次回に続く)